甲状腺の検査
●甲状腺機能検査●
*甲状腺刺激ホルモン(TSH)精密測定
脳の下垂体から分泌される甲状腺ホルモンの生産を調節するホルモンで、
甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの分泌を刺激します。
血液中の甲状腺ホルモンが多くなるとTSHは減少し、
逆に血液中のホルモンが少なくなるとTSHは増加します。
通常は、血液中の甲状腺ホルモンは一定の適切な濃度に保たれています。
甲状腺機能亢進症および低下症、バセドウ病ナドの疾患の時、TSHの分泌量を測定します。
*サイロキシン(T4)・(トリヨードサイロニンT3)
甲状腺はT4・T3の甲状腺ホルモンを作り、血液中に分泌します。
血液中のT4・T3を測定すると甲状腺機能の異常(亢進or低下)使用している薬の効果があるかがわかります。
甲状腺ホルモンは、このT4・T3の2種類ですが、大部分がT4でT3はごく微量です。
しかし、T4の濃度が正常でも、甲状腺機能亢進症を呈することがあり、T3の測定が必要となってきます。
(私の場合、右葉甲状腺切除により、このT4・T3は基準値にありましたが
TSHが基準値ではあるモノの、少し上昇していたコトから、ホルモンの調節をする為に、チラーヂンの服用を始めました。)
●甲状腺自己抗体検査●
*抗サイログロブリン抗体(TgAb=TGHA)(Tgと記される事が多い)
甲状腺濾胞細胞内にある糖蛋白(サイログロブリン)に対する自己抗体です。
(サイログロブリン→血中に分泌されるT4の直前の物質)
慢性甲状腺炎(橋本病)で陽性となることが殆どですが、バセドウ病でも陽性となることがあるそうです。
*抗マイクロゾーム抗体(MCHA)
甲状腺ペルオキシターゼに対する自己抗体です。
抗サイログロブリン抗体と同じく、慢性甲状腺炎(橋本病)やバセドウ病で、陽性となるそうです。
*TSHレセプター抗体(TRAb)
甲状腺の細胞にあるTSHがくっつく場所(TSHレセプター)に対する抗体です。
このTRAbは甲状腺のTSHレセプターにくっついて、甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンをどんどん作らせてしまうので、
バセドウ病の原因物質と考えられており、通常は持っていません。
この測定は、バセドウ病の診断、治療効果や再発の指標として有用です。
■検査の基準値■(検査法や検査会社により、若干異なります。)
機能検査
|
基準値 |
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
|
0.35~3.80μu/ml
|
フリーサイロキシン(フリーT4)
|
0.7~1.7ng/dl
|
フリートリヨードサイロン(フリーT3)
|
2.2~4.1pg/ml
|
自己抗体検査
|
基準値
|
抗サイログロブリン抗体(TgAb)
|
40u/ml未満
|
抗マイクロゾーム抗体(MCHA)
|
100~102以下
|
TSHレセプター抗体(TRAb)
|
10~15%以下
|
●超音波検査(エコー)●
超音波検査は、甲状腺内の腫瘍の大きさ・形・症状・質的診断(良悪性の鑑別)やリンパ節への転移などが分かります。
良悪性の判断については、確定は出来ませんが、
触知できない小さい病変や、しこりの大きさの変化を比較するのにも有用です。
(私の場合も、術前の超音波検査・穿刺吸引細胞診では良性との診断でした。)
母体内の胎児の観察にも使われる、最も安全な検査でゼリーを塗った機械(プローブ=探触子)を当て、
滑らすだけの検査で痛みも伴いません。
検査時間は、約10分ホドです。
超音波検査については、子宮ガンカテゴリの中でも簡単に書いていますので、合わせてご覧下さい。→
●穿刺吸引(せんしきゅういん)細胞診●
甲状腺の腫瘍内に細い針を刺して、直接細胞を採取する検査で良悪性の鑑別に、最も有効な検査です。
触診、又はエコーガイド下で吸引ピストル(針)を穿刺し、10回前後ピストン運動をし、その陰圧で細胞を採取します。
採取した細胞をスライドガラスに塗抹し、細胞の異型成を観察します。
首に針を刺すなんて考えただけでも怖いですが、針が細いので案外大丈夫でした。
もちろん針を刺すので痛みは多少ありますが、腕からの採血と同じです。
●甲状腺(頚部)レントゲン・CT・MRI検査●
石灰化を伴うしこりの診断や、気管の変位、狭窄の有無などが分かりますが、
良悪性の診断には不向きだそうです。
CTは、再発のチェックにも用いられます。
私自身も、定期的に(約1年毎)CT検査をしています。
CT・MRI検査についても、子宮ガンカテゴリの中で書いています。→
●シンチグラフィー●
放射性同位元素(ヨード、タリウムなど)を用いる検査で、甲状腺の形・腫瘍の大きさ・性質や腫瘍の部位の診断、
肺や骨への転移、再発の診断などにも有効です。